このような軽い気持ちで奨学金を借りる人に、警鐘を鳴らしたいと思います。
僕自身は決して裕福とはいえない家庭で育ちました。
大学に行くための学費は、当然自分で何とかするしかありませんでした。
医療系の大学だったということもあり、4年間で合計480万円の奨学金を借りました。
そして奨学金を返して10年以上の月日が過ぎました。
今だから言える経験した身として、伝えたいことがあります。
借りざるを得ない人がいることは重々承知しています。
僕自身もそうでしたから。
そのうえで、将来を見据えた上で本当に必要なものか、一度考えてから決断してほしいなと思います。
「決して軽い金額ではありません。」
僕自身の経験と感じたことを含めて、お伝えできればと思います。
・僕自身の経験談(奨学金を借りてから返済まで)
・奨学金に対して思うこと
奨学金を借りてから返済まで【体験談】
家庭の事情により借りざるを得ない奨学金
僕は医療系の私大に進学しました。
今も続けている理学療法士という資格を取るためです。
医療関係の学校は、実習費や設備のお金がかかることもあり、総じて学費は高い傾向にあります。
僕の大学も1年間で150万円近くの学費がかかりました。
合計にすると4年間で600万円という大金です。
これだけの学費を全額払える家庭の方がおそらく珍しいかもしれません。
一部も含めれば多くの人は奨学金を借りざるを得ないでしょう。
「理学療法士になりたい」という目標を達成するには、仕方のないことでした。
入学金30万円と始めの半年の学費75万円の約100万円は親戚に借り何とか学生生活をスタートしました。
奨学金は満額の月10万円×48ヶ月(4年)借りることにして、学費に充てることで何とか目処を立てることができました。
奨学金がなければ今の自分はないので、決して恨んでいるわけではなくて、貸してもらったこと自体にはもちろん感謝の気持ちはあります。
奨学金だけでは足りずアルバイトに明け暮れる学生時代
単純計算しても、奨学金だけでは学費をまかなうことはできません。
それに加えて、医学書はめちゃくちゃバカ高い。
平均しても1冊5000円前後はする本を、半年の教科ごとに購入しないといけないから、半年ごとに5万円近くは必要だった記憶があります。
僕は実家から通っていたので、生活費は必要ありませんでしたが、定期代が必要でした。
こうなると遊ぶお金どころではありません。
学費と書籍代と定期代を払うために、奨学金+アルバイト代が必要になります。
学業の合間でアルバイトに勤しみました。
もちろん、サークルをしたり遊びにかける時間やお金はありませんでした。
楽しそうな大学生をみて、羨ましく思ったことも度々あります。
でも自分の「理学療法士になりたい」という目標のためには犠牲にするしかありませんでした。
半年ごとの学費納入に頭を悩ませる日々
半年ごとに75万円程度の学費を納入しないと、学生生活を続けることはできません。
奨学金は月に10万円なので半年で60万円入ってきます。
それに加えてアルバイトして貯めたお金を足して、何とか学費を確保して支払っていました。
半年ごとの学費の納入を計算して、あと何万円足りないと計算しながら、納入期限に怯えていたのを覚えています。
遊びに使うお金などなく、最低限の洋服代やごくたまに遊びに行く程度でした。
憧れていた大学生活とは程遠い現実がそこにはありました。
幸いアルバイト仲間には恵まれて楽しく働けたし、学業も興味のある勉強ができて楽しかったのがせめてもの救いでした。
大学4回生では、2ヶ月×2回の実習があるのでこの期間はアルバイトができません。
そのためそれまでの間に余裕をもって、お金を貯めておく必要もありました。
我ながらよくやっていたなと思います。
社会人1年目になり実感する奨学金という名の借金の恐ろしさ
そして、無事に長期実習もクリアし、卒論もクリアし、国家試験にも合格し、大学の卒業単位も確保し、理学療法士となることができました。
就職も決まり社会人1年目を迎えました。
そんななか、初給料を喜んでいると銀行口座の通帳をみると2万円を越える金額がひかれていました。
奨学金の返済です。
手取り20万円そこそこでしたが、給料の1割以上の金額がひかれていたわけです。
ここで奨学金の現実をみた気がします。
そして20年以上の返済が必要という現実。
40歳半ば近くになりやっと返済から開放されるという未来。
社会人1年目にして現実を突きつけられました。
10年以上返済を続けて今改めて感じる借金の怖さ
今現在で300万円近くの奨学金を返済しました。
ただまだ200万円程度の返済金額を残しています。
繰り上げで一括返済することも考えたけど、金利が安いこともありこのまま継続して毎月2万円の返済を続けることを選択しました。
あと10年近く毎月2万円を払い続けないといけません。
借りた分の返済だから当然ではあります。
ただ金利がつくので40万円以上は多く返済しなければなりません。
奨学金という名前で勘違いしてしまいがちですが、金利の低い学生借金と同じです。
いい風に考えれば、社会人1年目にして借金の恐ろしさを知ることができたってことですかね。
奨学金に対して思うこと・メッセージ
奨学金はあくまでも金利の低い学生借金
「奨学金」というと聞こえはいい。
もしこれが「学生借金」って名前だったら、誤解されたり軽視されることはもう少し少ないと思う。
僕のように満額に近い金額を借りている人は、大学卒業と同時に500万円近い借金を背負うことになります。
まだ働いてもいない安定した将来も見えていない若者が、これだけの自己破産相当の借金を背負うと考えると恐ろしい。
就職できないかもしれないし、仕事を続けられずやめることになるかもしれない。
女性だったら数年で結婚して仕事をやめることもありえる。
かといって、奨学金の返済は待ってくれない。
あくまでも、奨学金は金利の低い学生借金であることを肝に銘じなければなりません。
将来を考えて本当に必要なものかを検討すること
奨学金を借りることが本当に自分にとって最善の選択肢なのか、しっかり検討しないと後悔するかもしれません。
僕のように明確な目標があり、そのために大学や専門学校に行かないといけないなら、奨学金を借りるのは仕方なのないこと。
ただ、何となくやりたいことがなくて大学に行くというならオススメはしない。
一昔前は、就職を考えれば大卒が当然という空気がありました。
今は時代が変わってきていて、働き方は色々あります。
大企業に努めたり公務員になるだけが成功ではないし、フリーランスや個人事業主をされる人も増えてきている。
将来の自分にとって、奨学金を借りてまで大学に行かないといけないことなのか、一度しっかり考えてから決断するべきです。
奨学金の返済は想像している以上に長く重くのしかかる
20年という月日はとてつもなく長い。
大学出たての社会人1年目の人が、20年後の自分を想像できるとはとても思えない。
ただ、20年後も奨学金の返済は続いている。
毎月2万円という金額自体も決して軽い金額ではありません。
ほとんどの人は社会人1年目の手取りは20万円ないでしょう。
そう考えたら1割以上の金額が始めからひかれてないのと同じというのはあまりにもデカイ。
それがどうなっているか分からない20年先まで続くということです。
奨学金返済が重荷になり貧困に陥る人もいる
中村淳彦氏著書の「東京貧困女子」という本があります。
東京で貧困に陥っている女子を取材すると、女子大生の多くが奨学金の問題に悩まされていた。
そして、貧困に陥って夜の街で働く女子大生があまりに多かった現実を痛感します。
取材した内容を本にされているため、あまりにもリアルで重い現実に、本をめくる指が重くなります。
ただ、そういう世界が現実にあるということを知ることができるので、読んでよかったとは思います。
この学生の現実を知らずに、簡単に学生批判や夜の街で働く女性を批判できないなと思います。
興味がある方はぜひ読んでみてください。
まとめ【奨学金のご利用は計画的に】
学業のためや目標のために奨学金は必要不可欠でもあります。
ですが、遊びのために多く借りたり、何となくの大学生活のために借りるのはオススメできません。
奨学金はれっきとした借金です。
大学を卒業も長きにわたって返済しなければなりません。
そのときには仕事をして安定した収入があるかは、遠い未来で予測がつきません。
目先のことだけではなく、遠い将来も見据えたうえで、奨学金を借りるか検討されたほうがいいと思います。
くれぐれも「ご利用は計画的に!」
それでは、また!