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社会的弱者の尊厳とは【わたしは、ダニエル・ブレイク】感想・レビュー

こんにちは!

最近はサブスクが浸透して、自宅で気軽に映画が観られる時代になりましたね。

しーたすについて

・Amazonプライムで年間映画50本以上

・映画館には月に1回以上

そんな僕が観た映画を備忘録として記事にしていきます。

 

今回観た映画は「わたしは、ダニエル・ブレイク」

心臓病を患って仕事ができなくなった59歳のダニエル・ブレイクが、複雑な福祉制度に翻弄され人としての尊厳を踏みにじられながらも、必死に助け合いながら生き抜こうとする悲しくも現実的な物語。

コ□ナによる経済的な打撃が長期に及ぶことで、経済的な貧困層が増えることが予想されます。

そんな中で日本政府の補償制度についても色んな意見が出ています。

そういった現実社会を踏まえて、共感するところや考えさせられるところも多い作品ではないかと思います。

 

【本記事の内容】

・「わたしは、ダニエル・ブレイク」の感想、レビュー

・「わたしは、ダニエル・ブレイク」から感じたこと

名作であることは間違いない。

ただ気軽に観る映画ではない。

社会に対する問題提起を内包している作品であり、観終わったあとはやるせなさを痛感する作品でもある。

それぞれの立場や状況によっても、色んな感想はでるだろうなと思います。

 

こんな人にオススメの記事

・「わたしは、ダニエル・ブレイク」を観て色々考えさせられた人

・「わたしは、ダニエル・ブレイク」を観ようか迷っている人(若干のネタバレあり)

 

「わたしは、ダニエル・ブレイク」の感想、レビュー

「わたしは、ダニエル・ブレイク」

「わたしは、ダニエル・ブレイク」総合評価

全体の総合評価としては★4.4なのでかなり優秀です。

星の分布としても★4以上が87%。

「わたしは、ダニエル・ブレイク」の総合評価

 

「わたしは、ダニエル・ブレイク」Amazonカスタマーレビュー

Amazonカスタマーレビューでもなかなか色んな見方があり、面白いですね。

「わたしは、ダニエル・ブレイク」レビュー① 「わたしは、ダニエル・ブレイク」レビュー② 「わたしは、ダニエル・ブレイク」レビュー③ 「わたしは、ダニエル・ブレイク」レビュー④ 「わたしは、ダニエル・ブレイク」レビュー⑤

 

 

「わたしは、ダニエル・ブレイク」あらすじ

59歳ながら心臓の病により仕事ができなくなったある男の話です。

それまで大工として40年間真面目に働いていた彼でしたが、ある時心臓発作で倒れます。

ドクターストップにより無職となった彼は、生活をしていくために給付を受けるための手続きを始めます。

しかし、そこで給付を受けるための制度のややこしさに翻弄されます。

真面目で優しく心の広い男であるダニエルですが、パソコンもできず役所とのやり取りもうまくいきません。

役所仕事のマニュアル通りの対応にたらい回しにされながらも、必死で規則に則って行動しようとします。

そんな中、あるシングルマザーの親子と交流が始まります。

その親子も様々な世間の風当たりを受けていて、そこにダニエル・ブレイクは手を差し伸べます。

お互い心の交流を通じ助け合う姿。

それをあざ笑うかのような社会の制度や冷たい現実。

人としての尊厳とは何かを問う。

 

「わたしは、ダニエル・ブレイク」個人的な感想

ダニエルのような正直な男が、尊厳をズタズタにされる様をみているのが辛かった。

何より最後のダニエルの言葉が身にしみた。

「私は依頼人でも顧客でもユーザーでもない。怠け者でもたかり屋でも物乞いでも泥棒でもない。国民保険番号でもなくエラー音でもない。きちんと税金を払ってきた。それを誇りに想ってる。地位の高いものには媚びないが、隣人には手を貸す。施しは要らない。私はダニエル・ブレイク。人間だ犬ではない。当たり前の権利を要求する。敬意ある態度というものを。私はダニエル・ブレイク。1人の市民だ。それ以上でもそれ以下でもない。」

ダニエルはただ自分の尊厳を認めてもらうことだけを望んだ。

でもそれも叶わなかった。

現実にもこういう待遇を受けている人たちは、僕たちが実感しないだけで世界中に少なからずいるはず。

日本で生まれ一般的な生活ができている自分は、気づいていないだけで恵まれているんだと考えさせられた。

そしていつ自分自身もこういった制度の隙間にハマってしまうとも限らない。

彼らは社会的弱者や貧困者に自ら望んでなっているのではない。

そうならざるを得なかった何かがあったんだ。

努力や自己責任の問題では片付けることができない。

生まれついた環境が悪かったとか、運が悪くそういう状況から抜け出せなくなったのかもしれない。

日本は恵まれてて生活保護や最低限の権利は比較的保証されている国だと思う。

一方そうじゃない国もたくさんあるだろうし、今後日本がそうなっていかないとも限らない。

格差社会がすすんでいけばより溝は深くなりやすい。

人としての尊厳が失われることだけはあってはいけないと強く思わされました。

 

「わたしは、ダニエル・ブレイク」から感じたこと

こいつがダニエル・ブレイクだ

社会の一部として生きるということ

映画の中では、お役所仕事をしている役所の人間が悪いように映りますが、そうだともいえない。

彼らも自分の職務を全うしようとしているだけで、人の心がないわけではない。

でも結果として、ダニエル・ブレイクは人としての尊厳すら失われる。

本当の悪人がいるわけではないのに、それが集団や社会としてのシステムにおいては、人を再起不能なところまで落ちぶらせるほどの強い力となる。

社会の中の歯車に上手くハマっているときはいいが、そこから一度外れると戻ってこられないシステムというのは恐ろしい。

ちょっとした過ちや不運からレールを外れることは往々にしてある。

でもそこから再起するシステムや受け皿が構築されていなければならないと僕は思う。

 

隣人・親しい人との交流や助け合いの素晴らしさ

本作の中で、社会の制度の残酷さと対比するように描かれているのが、人と人との絆や交流の素晴らしさであると思う。

損得勘定を抜きに目の前の困った人に手を差し伸べるダニエル。

そういった交流を通じて絆は育まれる。

誰かが自分に親切にしてくれたことがあるなら、その誰かに何かがあったときには自分も助けてあげたいと思うもの。

ダニエルとケイティ親子の心の繋がりはみていて胸が熱くなる。

きれいごとなのかもしれないけど、自分もギブの精神をもって目の前の困っている人がいれば助けられる人間になりたい。

みんながそういう心をもった世の中になれば社会は良くなるはず。

そう思いたい。

社会の残酷さを嘆くだけではなく、人の絆や心の交流に目を向けていきたい。

 

人としての尊厳を失わせることがあってはいけない

映画のタイトルや映画の最後のダニエルの言葉が物語っている。

「わたしは、ダニエル・ブレイク」

こうやって訴えるダニエルはおそらく人としての尊厳が失われていたのだと思う。

役所の人間にぞんざいに扱われることで、人ではなく物を扱うように感じていたのではないだろうか。

役所の仕事は感情論で行ってはいけないのはもちろん理解できる。

間違っていたり規則と違っていても、それを「可愛そうだから」という感情で許可することはできない。

前例を作ってはいけないことももちろんその通り。

でもそういった態度が敬意ある態度には映らないのも事実。

役所仕事をしていると思考停止の機械になってしまうのかもしれない。

それも効率化のためには必要なんだろう。

ただ人としての尊厳を失わせるようなことがあってはいけない。

根本の問題は社会のシステムだとは思うが、すぐにどうにでもできる問題ではないことも確かだ。

現状で解決するのが困難な問題であり、考えさせられる。

言えるのは、人の心を忘れてはいけない、人としての尊厳を失わせてはいけない、ということだろうか・・・

 

まとめ【コ□ナで大変な今だからこそ観たい作品】

コ□ナで世界は大変なことになっている。

自分のことや仕事のことで精一杯で、周囲の人に目を配る余裕がなくなりがちかもしれない。

社会や制度の問題も今後色々生じることも予測される。

そんな今だからこそ、こういう問題提起をしてくれる作品を観ることで色々考えさせられる。

理想論ではあるかもしれないけど、社会のシステムではなく、人と人との繋がりや心が良い社会を作ると思いたい。

それでは、また!