会議やコンパで一目置かれる人になりたい。
自分だけでなく相手も引き立たせるトーク術を覚えたい。
このような悩みを持つ人にとって、参考になる記事となっています。
日常生活や仕事の場面では、その場に応じて素早い言葉が求められます。
とっさに上手く話せなかったり、自分の考えを上手く伝えられなかった経験は誰でもしたことはあるでしょう。
岡田斗司夫氏は著書の「頭の回転が速い人の話し方」の中で、このような状況に応じて臨機応変に話す能力を、「戦闘思考力」という造語で説明されています。
この戦闘思考力の考えを身につけることで、状況や人に応じた臨機応変に話す能力を高めることができます。
本記事ではこの戦闘思考力という考え方について、整理し解説していきます。
・臨機応変に話すことのできる【戦闘思考力とは】
・戦闘思考力の重要な要素【ギアの概念とは】
臨機応変に話すことができる【戦闘思考力とは】
どんな場面でも臨機応変に話すことができたらいいですよね。
でも、話し方のスキルやノウハウだけで話せるようにはなりません。
そのような小手先ではなくて、頭の中でどのように思考を巡らせるかがカギとなります。
HUNTER×HUNTERの戦闘考察力とは
「HUNTER×HUNTER」という週間少年ジャンプの漫画で考えてみましょう。
この漫画の中では従来のバトル漫画とは異なり、単純な力の強さだけではなく考察に富んだバトルが繰り広げられます。
そこでは、主人公のゴンに対して師匠のビスケが以下の発言をします。
敵を観察し分析する力。そして敵を攻略するための手段を戦いながら瞬時に考える力。すなわち戦闘考察力!様々なタイプの敵と戦わねばならない念での戦闘・・・そこで最も大切な戦闘技術とは「思考の瞬発力」!「いかに対処するか」をすばやく幾通りも考え取捨選択し適切な対処法を実行に移すまでの刹那!まずは考えることに慣れ、それを限りなく反射へと近づける訓練!
つまり、「闘いながら考えて、最適の手順を頭の中で瞬時に組み立てること」を戦闘考察力とビスケは述べています。
話し方を武器にする戦闘思考力とは
岡田斗司夫氏がHUNTER×HUNTERの戦闘考察力から着想を得て、日常生活や仕事での頭の使い方に落とし込んだものが「戦闘思考力」です。
話し方のスタイルやテクニックを学ぶのは、武道で言えば空手の型を学ぶようなものです。
空手の型を学んでも実践での喧嘩は強くなりません。
つまり、話し方のテクニックを学んでも、臨機応変に話せるようになるわけではないのです。
戦闘思考力を鍛えること=臨機応変に話せるようになる
戦闘思考力を鍛えることで、色んな状況や人に応じて臨機応変に、実践的なトークや会話を行えるようになるということですね。
戦闘思考力を決める4つの能力
・言い返し能力
・分析能力
・考察能力
・発想能力
戦闘思考力の強さを決める4つの能力を順に解説します。
とっさに言葉を返すためには【トークの瞬発力=言い返し能力】
臨機応変にとっさに言葉を返すには、「言い返し能力」が求められます。
「言い返し能力」はトークの瞬発力のようなもの。
ノリや間を大事にする場や状況では有効です。
お笑いなどではいくら面白いことでも、答えるまでに時間がかかって間が悪いと面白くなくなります。
この場合は深く分析・考察された考えより、思考の瞬発力が求められるということです。
ただ、あくまでもトークの瞬発力のみです。
それだけでは、軽い言葉になるのでトークのインパクトや深みはありません。
何かを生み出したり解決に導くためには、このあとに述べる分析能力・考察能力・発想能力が必要です。
トークの深みやインパクトを生み出すには
【分析能力】:複雑な状況や要領を得ない複数の説明を整理し、論理的に捉え直す能力
【考察能力】:「相手の感情やプライド」「奥に隠れている損得勘定」を読み取る能力
【発想能力】:ミクロ・マクロの視点から、回答案を利害関係別に考える能力
この3つの能力が伴わずに「言い返す能力」だけだと、中身のない勢いだけでトークする人になってしまいます。
逆に分析能力・考察能力・発想能力に富んだ思考で発揮された言葉は、誰も思いつかないような面白みやインパクトのある言葉となります。
戦闘思考力の構成要素
多くの物事のスペックは、3つの要素から構成されます。
パワー、使いやすさ、丈夫さの3種類の要素です。
パソコンで例える3つの構成要素
パソコンで言えば、以下のようになります。
パワーのあるエンジン = パワーのあるCPU
思い通りに動く操作系 = 操作しやすいインターフェイス
丈夫な枠組み = シンプルで構造がしっかりしているOS
戦闘思考力の3つの構成要素
戦闘思考力においては
①ハイパワーの思考力(パワー)
②どんな価値観にも合わせられる応用力(使いやすさ)
③強く頼れる自己(丈夫さ)
次のように言い換えることができます。
①パワーとは、話し方の回転数や重さなどギアの概念(次項で詳しく解説します)。
②操作系とは、口数のコントロールがどれだけ上手く行えているか。
③丈夫さとは、いかに自分の考えに軸を持っているかということ。
どれだけの回転数と重さのある思考を、どれだけの口数で話すのか、その思考には軸を持っているのか。
これらの要素が合わさった戦闘思考力が、実際のトークに活かされることになります。
頭の回転の速さだけではなく重さも大事
前述の構成要素のうち、戦闘思考力の要素の多くを占めるのは①パワーです。
これは、話し方の回転数や重さなど「ギアの概念」で表されます。
状況や人に応じて頭の回転のギアを入れ替える
いつも同じ思考のスピードやパワーで話すのは間違いです。
マウンテンバイクでは、ギアの切り替えが行えます。
坂を登るときには、トップギアにしてペダルを軽くして回転数をあげます。
力強くスピードをあげるときは、ローギアにして回転数は下がりますがペダルを重くします。
頭の思考力についても同じです。
いつもトップギアで頭の回転が速いのがいいわけではありません。
ときには、じっくりと考えて深い考察や分析をする力も大切です。
話し方に関しても、いつもマシンガントークなのがいいわけではなく、その時々に応じてギアを入れ替えなければいけません。
トップギアは頭の回転を早くした思考
とっさの返しができるかどうかは大事ですよね。
一般的に、頭の回転が速いという場合には、このトップギアの能力を指します。
トークの瞬発力である言い返し能力に影響します。
ここで一つ質問に答えてみてください。
正解はありません。
解答をどれだけスピード感を持って出せるか、という大喜利みたいなもんですね。
このような、スピードが求められる思考のときには、重宝される能力です。
ただ注意すべきは、頭の回転が速い人が頭の良い人ではないということです。
回転がいくら早くても、中身が薄い思考だけではダメですよね。
このトップギアでの思考は、深い分析・考察・発想が求められる場合には適していません。
ローギアは共感力を重視した思考
一方で、ローギアの思考とはどのようなものでしょうか。
深い分析・考察・発想力のもとになされた思考です。
回転数は少ない(ゆっくり)ですが、力強い一発に重みのある思考や話し方です。
人生経験を積んだ90歳のおばあちゃんの、深い重みのある言葉みたいなもんです。
話すときだけではなく、話を聞いて共感するときも同じです。
トップギアで話を理解しないといけないこともありますが、相手の話に共感する聞き方であればローギアが大切になります。
トップギアで話を聞くと、「つまりこういうことでしょ」と話を要約したり先読みしてしまいます。
一方で、ローギアでは相手の話をじっくり聞いて、なぜそのような言葉を使うのかなど相手の背景まで思いを巡らすことも可能です。
ローギアはスピードはないけど、共感力の高い思考となります。
ミドルギアはリラックスした思考速度
ミドルギアは、トップギアとローギアの中間です。
じっくり考えるというわけでもなく、即興で考えるというわけでもありません。
リラックスしたその人が持つ中間のスピードの思考速度といえます。
まとめ【思考のギアをコントロールし話し方を武器にする】
小手先の話し方のスキルをつけたり、頭の回転の良さだけを求めるのはやめましょう。
話し方を武器にするには、マウンテンバイクと同じで思考のギアの使い分けが大切です。
とっさに気の利いた答えを返したり、誰にでも言い返す能力には憧れるかもしれません。
トップギアを使いこなして、頭の回転を早くすることも大事な要素ですが、それだけではダメです。
会話は相手がいることで成立するキャッチボールと同じです。
相手と呼吸を合わせないといけません。
特に相手の話を共感して聞くときには、ローギアやミドルギアで聞くことが大切です。
時間をかけてしっかり相手の話を聞くことで、相手の話から読み取る能力が発揮され共感力があがります。
会話をするときや思考するときに、頭の回転を意識的にコントロールしてみてはいかがでしょうか?
【トップギア】:思考の瞬発力が求められるとき。飲み会など間やテンポが大事な場面。まくしたてるような議論。
【ローギア】:思考の深さやインパクトを求められるとき。相手の話を共感を持って聞くとき。よく考えつくされた秀逸な意見をいうとき。
【ミドルギア】:リラックスした場面での会話。
きっと、あなたの話し方を変えるきっかけになるはずです。
話し方を変えたい人は、岡田斗司夫氏の「頭の回転が速い人の話し方」を読んでみてはいかがでしょうか。
それでは、また!