医療関係の職種は様々ありますが、1人の患者さんともっとも密に関わる職業は理学療法士を含むセラピスト職種といって間違いないでしょう。
今回は、僕自身が理学療法士として日々業務に携わるなかで学んだ、患者さんへの問診スキルを伝えたいと思います。
日常生活のコミュニケーションにも通ずると思いますので、是非参考にしてみてください。
元々コミュ障で人見知りな僕ですが、今では円滑に患者とコミュニケーションをとれています。
理学療法士として働くうえで、患者さんから必要な情報を聞き出す問診のスキルはめちゃくちゃ大事です。
相手がどんな人で、どんなことに困っていて、どんな生活をしているか、知る必要があります。
理学療法士は、情報を聞きだす力がなければ仕事になりません。
・相手から情報を引き出すためのスキルや方法を知りたい
・サービス業や人と関わる仕事だけど相手が心を開いてくれなくて困っている
・理学療法士の問診スキルや方法を知りたい
理学療法士は患者ともっとも密に関わる医療職種
医師は1日に多ければ数10人~100人以上診察することもあります。
そのため、医師は患者さんの診察にかける時間は5分以内というのも普通です。
医師の場合は手術の時間もありますしね。
理学療法士は1日に最大で1単位(20分)×24単位まで患者対応が認められています。
1単位対応の患者さんもいますが、入院患者であれば1人の患者さんに対して、3単位を午前と午後に1回ずつ診療することもよくあります。
つまり、理学療法士は1人の患者さんのリハビリに1日2時間(カルテ記録なども含むので実際は少し少ないですが)対応することになります。
担当患者さんであれば出勤日は毎日2時間対応するという感じですね。
回復期病棟であれば150日と長期で関わることになります。
さらに退院した後も外来リハビリ⇒自費診療とつないで、数年にわたって関わることもあります。
理学療法士は患者さんに触れながら、時間的にも物理的にももっとも密にコミュニケーションをとる医療職種であるといえます。
信頼関係を築くことがコミュニケーションの第一歩
前述のように、医療職種の中で理学療法士がもっとも1人の患者さんと密に関わることになります。
そのため、患者さんについてもっとも情報を持っているのがセラピスト職種である場合が多い。
患者さんについて他の医療職種から情報を求められることも結構あります。
必然的にチーム医療の中でコーディネーター役となり、中心になってすすめていくことが多くなります。
医師・看護師・管理栄養士・相談員・ケアマネージャー・家族などとのやり取りをしていかなければなりません。
患者さんについて色んな情報を知っておかなければならないわけです。
「職業・趣味・生活スタイル・自宅環境・家族構成・家族関係・困っていること・目標など」の色んなことを聞きとる必要があります。
患者さんの懐にどれだけ入って信頼関係を築けるかが大切になります。
信頼できない人にそんなプライベートな情報を患者さんは語ってくれませんからね。
理学療法士には問診のスキルが求められる
患者さんは痛みや何かできないことがあって、それを改善するために病院を訪れます。
病院やクリニックによって異なりますが、外来リハビリでは1単位20分もしくは2単位40分で初診の患者を対応することになります。
挨拶から始まって、患者の困りごとを聞いて、さらになぜ痛くなったのかなどを推察するために色んな情報を聞き取ります。
そして、検査や評価をしながら問診をしていくわけです。
時間のない中で自分が知りたい情報を聞き出さないといけません。
でもセラピスト側として知りたい情報を患者さんが話してくれるとは限らないんですよね。
患者さんは自分の訴えを聞いてほしいし、話したくないことは話したくない。
いかにこっちが知りたい情報を聞き出すための質問ができるかが大切になります。
では、次から僕が使ってる問診スキルを紹介したいと思います。
やっと本題です笑
コミュニケーションの取り方【相手から情報を引き出す方法】
話を切るためにはトーンを変える
一つ話題を振ると一心不乱にとめどなく話し続ける人もいます。
無限に時間がある場合で、プライベートなコミュニケーションであれば別にいい。
でも、限られた時間で必要な情報を知りたいわけです。
いかに自然に不快感を与えずに、話を切ることができるかがポイントです。
まずは前提として、こちらが「ちゃんと話を聞いているよ!」ということが相手に伝わるようにすることが大切。
そうじゃないと自分の話を聞いてくれないという不信感を与えてしまいます。
あいづちをしっかり打ったり、ときどきオウム返しをするとよいです。
ただそのままだと相手が話続けてしまい、話がなかなか終わりません。
僕がよく使うのは、言葉のトーンを変えて一言はさむということです。
正直内容は何でもいいとは思います。
「あ!そういえば・・・」とか「ところで!・・・」とか何でもいいですが、とりあえずトーンを変えて一言はさんでこちらが話すきっかけを作ることです。
closeな質問とopenな質問を使い分ける
・closeな質問はYes/Noで答えられるような質問
・openな質問はYes/Noで答えられない質問
closeな質問は、こちらでペースを握って情報をえることはできますし、短時間で効率よく聞くことができます。
YesかNoかだけを知りたい場合にはいいですが、それだけだと尋問を受けているような印象を与えてしまいます。
そして、こちらの予測した範囲での情報しかえることができません。
一方で、openな質問では思いもよらない情報が聞けるかもしれません。
こちらが必要としていない意図していない方向の答えが返ってくることもあります。
文脈の中で相手にこちらの意図がうまく伝えることができていれば、openな質問でも的確な答えが返ってくるでしょう。
あいまいな質問とフォーカスを当てた質問を使いわける
openな質問の中でも、どこまでフォーカスするかで変わってきます。
例えば、「休みの日は何をしてますか?」などはかなり幅広くて、その人によって返答がかわってくるような質問になります。
「好きな音楽の種類は何ですか?」などはある程度ジャンルを絞った質問となります。
相手がどういう話をしたがってるかなど興味の対象を知るためにも、基本的には始めはあいまいな質問から始めるほうがいいです。
そこで探っていってから徐々にフォーカスを当てていくようにするのがオススメです。
そのあたりの加減を誤ると、相手のテンションが乗ってこなかったり、話が続かなかったりします。
相手から情報をもらうには自分から先に情報を出す
人は基本的には自分のことを知ってほしいという欲求があります。
しかし、同時に自分のことを話すことに対して不安や警戒心を持っています。
こんなこと話してどう思われるだろう?とか考えてしまうわけです。
人によって、自分のことを気兼ねなく話してくれるタイプもいますが、なかなか自分のことを話してくれないタイプもいます。
自分のことを話してもらうにはどうすればいいでしょうか?
まずは、自分がプライベートな情報を先に出すことが大切になります。
特に自分のミスや恥ずかしいような体験をあえて話すことも効果があります。
そうすると、相手は自分のことを話すことに対してハードルが下がり、話しやすくなります。
相手に興味や関心を持っていることを示す
当たり前だとは思いますが、興味を持ってくれない人に対しては話そうという気はなくなります。
相手のプライベートに入っていくときには特に大切です。
興味があまりなくても、興味津々な感じを伝える演技力も大切です。
自分の好きなことに対して興味や関心をもって聞いてくれる人には悪い気はしません。
より深い情報を知りたいときには、自分が興味や関心を持っていることを、あいづちや反応でしっかり示しましょう。
否定的な反応や態度を示さない
否定されたり理解してくれない態度を示されたら、それ以上その人に話しても分かってくれないと思ってしまいます。
そう思われてしまうと本心をもう話してくれなくなるかもしれません。
基本的には、否定的な反応はせず、相手のいうことをまずはありのまま受け止めるようにします。
まずは肯定の反応を示すことです。
反対の意見を示す場合も否定的な表現ではなく、「こうした方がよりいいかもしれませんね。」など言い方を変えて伝えるようにする方がいいです。
全てにイエスマンになるという意味ではありません。
第一印象に気を付ける
初対面のときに相手に抱く印象のことを第一印象といいます。
第一印象がその後のその人の評価や好感度を左右するといわれます。
心理学では「初頭効果 」といいます。
最初の好感度がよいと何をしても好意的に受け止めてもらいやすくなります。
逆に最初の好感度が最悪だと悪い方にとられてしまう可能性があります。
つまり最初が肝心です。
「メラビアンの法則」といわれるものがあります。
これは「第一印象は出会って数秒で決まる」ということです。
そして初対面の人の印象についてどの要素を優先しているか調べた結果、「視覚が55%、聴覚が38%、言語が7%」になったというものです。
つまり、見た目と話し方が話す内容以上に印象を左右することもあります。
非言語のコミュニケーションに注意する
前述のように視覚や聴覚情報は、言葉の内容以上に影響を与えることがあります。
いくら言葉で述べていても、非言語(non-verbal)のコミュニケーションで別の伝わり方をしてしまうことがあるということです。
共感の態度を示していたとしても、顔の表情が違っていたり声のトーンが違っていると、そちらの意味で伝わってしまうかもしれません。
うまく非言語のコミュニケーションを利用すれば、コミュニケーションは円滑になります。
例えば、共感の態度を示すときにはしゃがんで相手の目線に立ったり、相手の気持ちに立って同じように悲しむときは声のトーンを落としたりなどもひとつです。
言葉の内容だけでなく、非言語のコミュニケーションにも意識を向けましょう。
まとめ【サービス業や医療職では相手から情報をひき出す力は大切】
僕自身は元々人見知りでコミュニケーションをとても苦手としていたタイプの人間でした。
でも、仕事を通じて感じたり、心理学などを学んだりするなかで、うまく患者とコミュニケーションをとれるようになりました。
そして聞きたい情報を上手にきく問診スキルもついてきました。
仕事以外のプライベートな人間関係にも活かしています。
今回は、問診をするときに気を付けているポイントをいくつか紹介してみました。
何か参考になれば嬉しいです。
それでは、また!