僕自身、理学療法士として色々な患者さんに今まで関わってきました。
もちろん病気や怪我について知識としては知っている。
でも知っている人と実際に経験している人には、超えられない壁があることを学びました。
かつて脳卒中を経験し、その後に理学療法士になった方が書かれている本があります。
先日読んだのですが、自分自身改めて学ぶことが多くありました。
医療職として働く以上、相手の気持ちを汲み取ることを忘れてはいけないですね。
自分なりに考えてみようと思います。
相手の気持ちを汲み取ることの大切さ
経験した本人にしか分からない不便さがある
医療職として長年働いていると、怪我や病気に対する知識や経験が増えていき、分かったつもりになってしまう人が多いと思います。
でも、本人にしか分からない部分ってめちゃくちゃあるんですよね。
僕自身も怪我をして入院をすることがあったんですが、こんなところが意外と大変なんだと初めて気づくこともありました。
ちょっとした車椅子の操作や松葉杖での移動が、こんなに不便なものなんだって。
そこで初めて自分が今まで分かったつもりだったことに気づいた。
相手の立場に立って気遣いをできるように
「松葉杖だと手がふさがるから、荷物持っていってあげたほうがいいだろうな。」
「車椅子だったらこの位置だと手が届かないから、ナースコールが届くように延長コードで伸ばさないとな。」
本人の視点に立つことができると、ちょっとした困りごとに気づいたりできるようになります。
つい医療者視点からだけで、自分たちがやりやすいようにしてしまいがちなので、十分気をつけていかないといけないですね。
相手の気持ちを汲み取ることの大切さ
・痛くて寝られなくてつらい
・トイレや風呂に看護師さんに連れて行ってもらうのに気を遣う
・仕事いつまで休まないといけないのかな
・また元のように戻れるのかな
・給料がない期間どうしよう
このように患者さんは無数な心配事や不安が渦巻いてるわけです。
もちろんその人にしか分からないことはある。
その中で少しでも相手の気持ちを汲み取ろうとすることが大事。
本人の気持ちや主体性を大事にする関わりを
相手に自分の考えを押し付けていないか
・少しでもよくしてあげたい!
・少しでも痛みをとってあげたい!
とてもいい心意気だとは思います。
ただ患者さんが本当に望んでいることは何なのかを考えないといけない。
・このままで十分いいから、それより早く家に帰りたい
・孫の結婚式に杖なしで出席したい
あなたの患者をよくしたいという想いも、もしかしたら患者さんへは押しつけになっているかもしれません。
相手を受動的にせずに主体性を持てるように関わる
どうしても怪我や病気で弱っていると、自己効力感が下がってしまいやすい。
【自己効力感とは】自己効力感またはセルフ・エフィカシーとは、自分がある状況において必要な行動をうまく遂行できると、自分の可能性を認知していること。
・トイレ、入浴、食事などが自分で行えない
・入院して介助をしてもらうことが多い
・社会との関わりがなくなる
怪我や病気で入院したり、仕事をできなくなったりすると、自信を失います。
医療スタッフが過介助してしまったり手伝いすぎてしまうと、より受動的になることを促してしまうことになる。
あくまでもアシストするだけで、患者の主体性を奪わないように関わらないといけないですね。
相手の気持ちに立てる共感力を
あるとき急に脳卒中になり半身が動かなくなって、自分の体を思い通りに動かせなくなったとしたら・・・
今まで仕事をバリバリやって、自分で何もかもしていた人が、そんなにすぐに障害受容できるでしょうか。
医学的には元通りに治らないのは、そうかもしれない。
でも、元通りに完全に以前と同じになれるよう目指したい!という患者の気持ちは汲んであげないといけない。
逆もしかりで、よくなりたいという気持ちより他のことを望んでいるかもしれない。
患者さんそれぞれに想いをもっている。
医療者側は憶測で決めつけず、患者さんの想いと真摯に向き合う姿勢を忘れてはいけない。
まとめ【相手の気持ちを汲み取れる共感力を】
つい人は自分視点に立ってしまいがちです。
常々相手視点を忘れないようにしないといけない。
自分の想いが相手にとっては押しつけになっているかもしれない。
相手の気持ちを汲み取れる共感力を磨いていきたいですね。
医療職である僕としては、「脳卒中患者だった理学療法士が伝えたい、本当のこと」を読んでみて感じるところも多かったですね。
前半は一般向けですが、後半は医療職向けなので、素人には少し分かりにくい内容もあるかもしれませんが・・・
脳卒中患者を家族に持つ方はもちろんですが、特に理学療法士の方に読んでいただきたい本ですね。
医療職にこそ知ってほしい脳卒中患者視点が描かれています。
それでは、また!