このような疑問を解決する記事となっています。
理学療法士には協会による生涯学習制度があります。
現場で働いている理学療法士が自己研鑽を継続するためのシステムです。
一定基準を満たすと認定資格として、認定理学療法士、専門理学療法士の取得が可能となっています。
しかし、実際資格を取得するメリットがわからず、スルーしてる人も多いのではないでしょうか。
僕自身も認定理学療法士を取得しているため、メリット・デメリットや取得方法について整理してみようと思います。
・認定理学療法士とは
・認定理学療法士を取得する方法
・認定理学療法士のメリットとデメリット
認定理学療法士ってどんな資格?
認定理学療法士取得までの流れ【生涯学習制度とは】
新人プログラムの修了は必須ですね。
そのあとに専門分野の登録が必要なのですが、忘れがちなので注意が必要です。
専門分野に登録してから2年経過しないと、認定理学療法士の受験資格を満たしません。
専門分野登録が遅れるほど、認定理学療法士の受験資格が認められるのもそれだけ遅くなってしまいます。
登録自体はHPから登録するだけなので、やるだけサクッとやっておくのが吉です。
※2022年度からは新生涯学習制度が始まるので、上記と異なるため注意が必要です。
認定理学療法士とは?
【受験資格】:新人教育プログラム修了者でかつ専門分野登録から2年経過
【目的】:自らの専門性を高め、高い専門的臨床技能の維持、社会、職能面における理学療法の専門性(技術・スキル)を高めていくこと
新人教育プログラム修了者は7専門分野(基礎理学療法、神経理学療法、運動器理学療法、内部障害理学療法、生活環境支援理学療法、物理療法、教育・管理理学療法)のいずれかひとつ以上の専門分野に登録し、認定理学療法士を目指します。
つまり、理学療法士協会入会後、最短3年でチャレンジできるということですね。
ある領域での一定以上の知識と経験を有した理学療法士であると認定されるということになります。
認定理学療法士の取得状況
【認定理学療法士の取得状況】
総会員数:123,138名
認定理学療法士取得者数(延べ人数):8,721名
認定理学療法士取得者数(実数):7,641名
※2019年7月1日データ
※参考:公益社団法人日本理学療法士協会「認定理学療法士の取得状況」
全体の人数からすると約6%ということになります。
取得人数の多いメジャーな認定理学療法士は以下の順になります。
1位:脳卒中 2203人
2位:運動器 2015人
3位:呼吸 882人
4位:地域理学療法 789人
5位:循環 670人
領域によってのバラツキもかなりあります。
日本全国に10人程度しかいない領域もあると考えると、領域によっては希少性はかなりありますね。
認定理学療法士を取得する方法
認定理学療法士申請のための必須条件
① 新人教育プログラムが修了していること。(20p)
② 希望領域を含む専門分野登録をしてから 2 年以上経過していること。
③ 希望領域に該当する有効期限内※の認定必須研修会を受講していること。
(20p)
④ 有効期限内※の協会指定研修を受講していること。(40p)
⑤ 上記とは別のポイントとして、各領域の履修要件に即したポイント 100p を
取得していること。(100p)
※認定必須研修会・協会指定研修の有効期限は、研修会受講年度の4月1日から5年間です。
認定理学療法士取得までの流れ
①新人教育プログラムを修了する(必要期間1年、20P取得)
②専門分野の登録(登録後2年経過必要)
③ポイント貯める
・認定必須研修会:専門分野ごとの必須研修会(20P)
・協会指定研修:専門分野関係なく共通の必須研修会(40P)
・その他学会・研修会:専門分野で認められた研修会や学会(100P)
※各種の対象の研修会や学会については協会HP内情報をご参照ください。
④症例報告:指定された様式で専門分野に沿った症例報告を10症例作成し提出(1症例につき1000〜1200文字程度)
⑤申請:下記の書類を揃えて申請をします。
申請料: 領域につき 7,560 円(書類審査料、認定試験受験料含む)
申請書類:申請書・誓約書・症例報告書(10 症例分)・ポイントを証明する書類のコピー(必要な方のみ)
⑥認定試験:マークシート形式での筆記試験(共通は協会指定必須研修会より、専門分野は認定必須研修会より出題)
※2020年度はご時世により、インターネットでのweb試験開催(2021年度以降は協会HP内情報をご参照ください)
認定理学療法士取得のメリット
・取得のための過程が自己学習になる
・肩書きがつく
・協会からの仕事がくる
順番に解説していきます。
認定理学療法士を取得する過程が自己学習になる
理学療法士は1年目の新人でも20年目のベテランでも、患者対応したときの保険点数は同じです。
つまり、病院に対する直接的な利益は一緒ということですね。
いくら頑張っても稼ぐことには限界があります。
そんな理学療法士が価値を示すには、他の人が持っていないような技能や知識を持つことしかありません。
いわゆる職人の世界でもあります。
患者さんを治療する能力が高い人は頼られるし、色んな知識を持っている人は重宝されます。
日々論文や専門書を読んで知識を蓄えたり、研修会で技術を学んだりすることが大切となります。
でも人間なかなか自主的には頑張れないものです。
認定理学療法士を取得するためには、研修会に参加してポイントをもらう必要があるし、筆記試験に通る必要もあります。
必然的にやらないといけない状況に追い込むことは、メリットと言えるでしょう。
認定理学療法士の肩書きがつく
認定理学療法士の認定資格を持っている人は、まだまだ全体の6%と少数派です。
持っているだけで希少な存在となれることは間違いありません。
知らないひとからすれば、肩書きがあるのとないのであればある方がいいですよね。
肩書きだけで実力が伴っていないと、もちろん意味はないですが。
転職する際に病院採用側からしても、自己研鑽をする姿勢があると判断され、多少のプラスにもなるのではないでしょうか。
認定理学療法士取得者のみ可能な協会の仕事もある
理学療法士協会からの仕事をする場合には、認定理学療法士が必要なものがあります。
認定理学療法士となるための研修会などです。
認定理学療法士を持った人が講師でなければ、ポイント申請が認められません。
実力や人脈があって講師の依頼があったとしても、認定理学療法士を取得していないと受けられないということになりますね。
認定理学療法士取得のデメリット
・資格取得のメリットが少ない
・ポイント申請などが煩わしい
・受験資格を得るまでに時間とコストがかかる
順番に解説していきます。
認定理学療法士取得のメリットが少ない
給料などの待遇が上がったり、職場で評価されることはほとんどありません。
何らかの見返りを求めると考えると、実際のメリットは少ないと言わざるを得ないでしょう。
認定理学療法士取得者が増えない一番の要因ではないかと考えられます。
認定理学療法士を受験するためのポイント申請が煩わしい
研修会や学会に参加し必要ポイント数を獲得する必要がありますが、これがなかなか煩わしい。
少しでもポイントが足りないと認められないし、領域外のポイントの場合も認められません。
そのあたりのシステムがややこしいこともあり、ポイントが足りなかったりで落ちるケースもちょこちょこあるようです。
ポイントがしっかり足りているか、十分確認してミスのないように注意ですね。
受験資格を得るまでに時間やコストがかかる
・最短でも3年の期間が必要
・研修や学会参加のお金がかかる
取得自体の難易度がそこまで高い試験ではありません。
最低限の時間とお金は必要ですが、平均的で無理のない範囲だといえるでしょう。
まとめ【認定理学療法士の取得を検討してみては】
今回は、認定理学療法士についてと取得方法、メリット・デメリットについて整理してみました。
※詳細な情報や新しい情報については、理学療法士協会HPをご覧ください。
認定理学療法士を取得しても、いますぐに大きなメリットがあるわけではありません。
ただ、今後どんどん理学療法士が増えていきますし、2022年度からは新生涯学習プログラムも始まります。
認定理学療法士取得が難しくなるという話も聞きます。
取得人数が少なく希少性もあり、ハードルも低い今のうちに取得を考えてみてはいかがでしょうか。
それでは、また!